第48章 空模様
入院するということで、二人は色々と買い揃えてくれた。
二人が帰って来る頃にはおやつの時間だったが、私はお腹も空かないし起き上がるのも辛かった。
「実弥くんは仕事中だろうから、メールで伝えといた。」
「…ありがと……」
その後も二人はしばらく病室にいて、あまり話せない私にこの前行った日帰り旅行の話などを聞かせてくれた。
「そろそろ実弥くんが来るらしいから」
そして、夕方ごろになるとそう言って帰っていった。
そうは言っても実弥はなかなか来なくて、私はただ天井の明かりを眺めていた。
ピッ、ピッ、という私の心拍数を表す音だけが単調に聞こえた。……これが遅いってことか。本当はもっとはやいのかな。
そうしていると、空が真っ暗になる頃に病室の扉が開いた。
「、悪ィ遅くなった」
実弥が息を切らして入ってきた。
私の状態を見ても驚かない辺り、おじいちゃんが教えてくれていたのだろうか。
「おそい」
「ん」
実弥がしゃがみこんで私のすぐ側に顔を寄せてきた。
「……待ってた…」
「ああ、俺はいつも遅いなァ」
「でも、来てくれるから」
息が乱れて声が出なくなった。
しばらく時間がたってから、私はまた話した。
「嬉しい」
そう笑うと、実弥も笑って顔を寄せてきた。
「…おはぎのこと…よろしく、ね……」
「おう」
実弥に手を伸ばすと、ぎゅっと握り返してかれた。
「明日から…無理して…こなくていい、からね」
「いや、来る」
「そう言って…来ない、じゃない」
実弥は首を横に振って、来ると言った。
どこか必死なその様子に、心配性だなあと私は苦笑した。