第46章 障壁
ネットで見た通り、確かに花は綺麗だった。
「はぁ、こういうときに『花より君が綺麗だよ』って言ってくれる彼氏が欲しい」
「……花より君が綺麗だよ」
「素敵な棒読みだね」
あまりの演技の下手くそさに私は吹き出してしまった。
「ははッ、わざわばお金払ってお花見に来てるのに私のこと褒められても困るけどねッ!」
「お前夢のないこと言うなよ。……んー、まぁ…。」
実弥は少し間を置いてから言った。
「花より団子ってことわざがあってだな。」
「それ喧嘩売ってる?」
「ちげえよ。団子はお前。」
「は」
「花を見るより団子が食いてえってのはわかるなぁ…」
じーっと横目に私を見ながら言うので、一発殴っておいた。
「いって!お前本気で…!!」
「うるせえ!!この最低野郎ッ!!!もう今後一切私に近づかないで!!」
「わ、悪かったって、冗談だよ…」
「はい嘘!ギルティ!!」
「あー、悪い悪い」
これもまた嘘だ。
実弥はニヤニヤしていたし、私は真っ赤になるし、実弥はいつも私に負けると言っていたけど結局は私が負ける。悔しい。