第6章 陰鬱
「「「カンパーイ」」」
やっべー。来ちゃったー。
周りの人がごちゃごちゃうるさい居酒屋で、合コンが始まってしまった。行きませんと言えない私のばか野郎。自分を責めながら私は一杯目のビールをちびちびと飲んだ。
「いやー、お前らの友達にこんな可愛い子がいるなんて知らなかったわ。」
「ほんとほんと。紹介しろって。」
私が加わったことで女四人男三人…。バランス悪い。
でも合コンというか、お互い知り合いみたいでただの飲み会のような雰囲気だった。
「だめだっての。霧雨さん彼氏いるから。」
「えー?どんなイケメンだよ。」
「見たいー。写真ある?」
皆が私に注目する。
…けど。
「写真…は……は、恥ずかしいかな。私も写ってるし…。」
「ええ~ナニソレ可愛い、照れてるー!」
「でしょー、霧雨さんまじ可愛い子なのー!」
いやいや単に見せたくないだけです!勝手に写真見せたら怒るんだもん!!私も実弥が他人に写真見せたら怒るわ!!
「いいな~、こんな彼女捕まえるってどんな奴だよ。彼氏なにしてんの?」
「こ、高校教師です。」
「やば、ガチじゃん。」
いや何がガチなの。
「ふーん。クリスマスとか記念日とか、プレゼントくれたりディナー連れてってもらったりしてる?」
「いや…してない、です。」
「「「はあ!?」」」
全員の声がシンクロする。
私がキョトンとしていると、皆口々に話し出した。
「あり得ない!」
「本当それ!大切な日になにもしないってナニソレ!!」
「えっあ、いや、私がいらないって断ってるだけだし…それに、好きなところに連れていってくれるんだよ。車持ってるから、彼…。」
「えー、でも嫌だな。ネックレスとか欲しい。」
「私は指輪かなー。」
いやあ、あなた達の欲しいものは聞いてないんですけど。
こんな感じで気まずいまま、飲み会は進んでいった。