第6章 陰鬱
食事が終わると蜜璃と別れて駅に向かった。彼女は今から大学の友達とお泊まりらしい。誘って悪かったかと思ったが、晩ごはんは各自でとなっていて都合が良かったらしい。
実弥から連絡が着ていて、遅くなるとのこと。これは日付変わるまで飲むんだろうな。電車に乗るために切符を買おうとしていると、後ろから声をかけられた。
「あれ?霧雨さんじゃない?」
振り向くと、そこにいたのは大学時代に同じ学科だった女の子グループだった。
「あー…どうも」
「どうもだって、ウケる。」
何がおかしいのか笑っている。こういうところが正直あまり好きではないというか、付き合いの薄い子達だ。
美大は派手な子達が多くて、その中でも更に派手だった子達。あまり接点もなかったしな。
「大学以来じゃね?」
「確かに~。霧雨さん、同窓会来ないじゃん。寂しーし。」
「えと、仕事が被っちゃって…。」
寂しがられるほど話したことなくない!?
…でも社交辞令でそういってくれるなら、まあ。
「えー?じゃあ今日こない?合コンなんだけど。学生時代も全然飲み会来なかったじゃん?一緒に飲もーよ。」
……合コン…って…あまり得意じゃないな…。
「いや、私もう飲んだから…」
「え~。でも霧雨さん、酔ってなさそー。強いの?」
「まあ…」
「ならいーじゃん、おいでよ!」
「こらこら、ダメだよー。霧雨さん彼氏いるんでしょ?」
そのグループの中でも一番のリーダーみたいな子が前にでて言った。
「う、うん。」
「まー男に奢られるだけだからさ、合コンなんて。アタシは来てほしいかな。」
……なぜ?
話すことなんて何もないじゃない。あっ、これ何?人数合わせ?それとも私を注文係にしたいだけ?
「なーに?その子もくんの?」
すると、女の子グループの後ろから、男の子グループが姿を表した。囲まれる私を見下ろし、じーっと見つめてくる。
……やばいなこの雰囲気。ここは駅。人が多すぎて気配に気づきにくい。
「いやー、この子彼氏持ちでぇ。でも説得ちゅー。」
「ははっ、来ればいいじゃーん。俺ら気にしねえし。な?」
「うんうん、飲も飲もー。」
えっ。何で?何が気にしないなの?何が気にならないの?
ちょっとどうしよう。すごくまずいことになってしまったんですけど…。