第39章 大雨
優鈴と桜くんが帰った数時間後に、実弥が帰ってきた。
「ただいッ」
「さねみーーーっ!!」
ドンッ!!!と体当たり状態で抱きつくと、さすがの実弥もふらついた。
「マリッジブルーは嫌だよ~!!ごめんなさいごめんなさい!!」
「あ?ぁ、あァ?ま、まりっじ…何だ?」
実弥が意味がわからないという風にしていたが、数日ぶりにやっと私と会話できたことを喜んでいるのは確かに伝わってきた。こんな時でも可愛い。好き。
「ゆ、優鈴に言われたのぉ、マリッジブルーは別れちゃうって」
「木谷さんが何だって?…ちょっと待て、ゆっくり話せ。とりあえず離れろ。座れ。」
私は今日あったことをソファに座って涙声で話した。
「………はあ…マリッジブルーねェ…」
「わ、私…そうなのかな、ブルーになってるのかな。」
おろおろとしていると、ズバリと言われた。
「そう迷っちまうのがマリッジブルーなんじゃねえのか?」
「………ハッ、あんた天才?」
「やめろ恥ずかしい」
実弥がため息をつきながらがしがしと頭をかいた。
「お前って本当…」
「え、何?」
「………“女の子”だよなァ。何か悩むところとか一々可愛いわ。」
真面目な顔で言われ、ぎょっとした。
「……え…も、もう一回言ってくれる…?」
「二度と言わねェ」
「私のためだと思って!!」
「ならせめてスマホの録音とめろッ!!!」
「やった!!止めたら言ってくれるんだね!?」
「二度と言わねェって言ったよなァ!?」
実弥があんな風に私に言ってくれるのは珍しい。
だからその一言一言が貴重なのに!!!
「やだ!!“可愛い”“好き”“愛してる”は毎日言われたい!!」
「るせェ!!可愛い、好き、愛してるは毎日思ってるわ!!」
「口に出してくれないといやなのおおー!!!」
私たちは数分口論して、その後に疲れた、お腹が空いたと決着がついた。
…何で喧嘩してたんだっけ?