第38章 従兄弟の記憶ー怒りー
「合同任務…あなたとでしたか。」
私は少しまずいことになったな、と思いました。
柱が合同でこなす任務ともなるとかなりの大物がいることになります。
舞台となるのは狭い山道でした。ここを通る者が何人も行方不明となり、先に送られた隊士もそうなってしまい、なす統べなくなり我々柱が送られたのですが。
二人のうち一人が、この女の子。
現時点で鬼殺隊最強の大物新人です。
「氷雨くん」
彼女はちょこちょこと私の後ろをついてきました。
まだ幼い子供です。……不思議ですね。私は時たま未来も見えますけど、あなたからは何も感じません。
あなたを通して見えるのはただ暗い…真っ黒な、何か。
「私が行きます」
私が何かを言う前に、風だけを残して彼女は姿を消しました。
「………鬼がいたのでしょうか。」
どうも気配察知に優れているようで、鬼がいる場所へ一目散へ行ってしまうのです。
「はっ、追いかけねば。」
ともかく、また行方不明者が増えられても手間がかかるだけです。
いけないいけない。
考える前に、動こう。