第37章 再構築
空から視線を下ろせば、実弥と目が合った。じっと見つめ合う。
「俺は……お前を繋ぎ止めて、苦しめてる。」
突然実弥が切り出した。
今まで、目を避けてきたことで。
私は心臓が止まるかと思った。
「それに、最低なこともした。躍起になって、意地になって……お前を泣かせた。」
一度目のプロポーズの時。
妊娠できないからと断った私に、実弥は…。
確かにあのときは散々私も泣いた。妊娠検査薬も使うことになったけど、結局は何もない。
「……けど…お前が、好きとか言ってくれて、俺にくっついてきて、一緒にいるのが…」
私は黙って聞いていた。
私は春風さんと違う。感じることしかできないから、相手を理解するには言葉が必要だ。
「本当に幸せなんだ」
実弥は一息ついた。
今感じているこれはどういう感情だろうか。よくわからない。
だからこそ、私は黙っていた。
「二度と言わねえって…言ったけど……最低なことは承知で言う。」
その時、私は悟った。
なぜ春風さんがこんなことをしたのか。何だか最近の実弥の、おかしな様子の原因は………。
「俺と、結婚してください」