第37章 再構築
どこに何をしに行くんだろうと思えば、遠出のドライブみたいに、ずいぶんと長く車で走った。
水族館とか、植物園とか、一日で色んな所を回った。
「ねえ、すっごく楽しいけど、何で今日はこんなにたくさんのところに連れていってくれるの?」
そう聞いても、変に誤魔化したりお茶濁すような答えだったりして、困ったように笑うのでもう聞かないことにした。
実弥はどこか上の空というか、ソワソワしていて落ち着きがない。
それに、いつもと違うのは手を繋いでくれるし、ふざけて腕を組んでも離れろと言わない。
実弥は教師という職業から、もし生徒に会って見られたりしたら困ると常日頃から口にする。だから滅多にこういうことはしないし、何なら…社会人になる前の、大学生以来じゃないか。
おかしい。実弥がおかしい。
おかしいまま、時間は過ぎていく。
それを、どうすることもできないまま、時間は過ぎていく。
おいしかったな、夜ご飯。
普段行かないようなお店だし、実弥ってば色々調べてたみたいだけどいつの間に準備していたんだろう。
「ねえ、帰らないの?」
「んー…」
でも実弥はマンションと違う方向に行くので、少し不安だった。
「帰ろうよ。」
「いいから。」
実弥はずっとそんな感じだった。久しぶりにこんなに動いてすごく眠いんだけど。
寝ない方がいいかな。いいんだろうけど、眠いな。
そんな、うとうととしているうちに車が止まった。
外を見ると、随分と自然豊かな場所だった。
駐車場みたいだけど、私たち以外に停まっている車は見えない。
言ってしまえば……人気のない、森の中。
何てところに連れてきたんだとキッと睨むと、実弥の顔がすぐそこにあって、私は睨むのをやめた。