第37章 再構築
「うん、まあ及第点ね。これに小物類とバックを合わせればいけるわね。」
天晴先輩が服を見て言う。
「わ、私…熱出して療養に来ただけなので、リュックサックしか持ってませんよ。それに小物なんて…。」
「あらあ、ここをどこだと思っているの?春風の家よ?ないものなんてないわよ。」
それを聞いて、春風さんがついておいでと言うのでとある部屋に行くと、そこにはずらっと靴やらバッグやらがずらりとお店のように並べられていた。
「えっ。何これ。」
「色んな人からいただくのですよ。母親は断れない上にものを捨てられない人で、いただいたものは一度も使いもしないのに全て大切に保管しているのです。でも、正直このように場所をとってしまって邪魔なので、使っていただけるとうれしいです。」
「ほらね?」
「いや、ほらね?じゃなくて。」
天晴先輩はなれたようにつかつかとヒールを鳴らして部屋に入り、いくつか見繕って私に差し出してきた。
「服を着替えて。靴を履いてきて。」
「え。あの。」
「急ぎなさい。私はそんなに暇じゃないのよ!!!」
「了解であります!!!」
私はサッと自分の部屋として借りている客間に戻り、急いで着替えた。
先輩が選んだ靴はヒールで、最後に履いたのは何年か前なのでちょっとフラフラしたがすぐに慣れた。慌ててみんなの元に戻る。
「よしっ、完璧ね。バッグもこれで良いわね。」
小さな軽いバッグを私に持たせ、先輩は満足そうだ。
「じゃあ、その服に合わせたメイクとヘアセットは任せて!!」
続いて美容師であるハルナちゃんが意気揚々と言った。
…ちなみに春風さんと桜くんはもうラジコンを飛ばしに行ったらしい。この家、庭も広いからなあ。