第37章 再構築
「それじゃあ、コーデとメイクはこのお方々に任せて、私はハカナとラジコンでも飛ばしてきます。」
春風さんがニコニコと笑って言うので、私はギョッとした。
「ええっ!!それはどう言う意味なんですか?」
「だあかあらあ!!」
天晴先輩がピシャリと言った。
「デートにふさわしいコーデやメイクを私たちがしてあげるって言ってるの!!」
「僕はハルナの付き添いと、氷雨サンが取引先からもらった限定品の飛行機型のラジコン見せてくれるって言うからきた。」
桜くんは紙飛行機好きが転じて、本物の飛行機が大好きになった。ラジコンとかプラモデルにハマっているらしいから、それに釣られてきたのだろう。
まじで冷やかしにきたな桜くん。
「い、いや。そんな大袈裟な…。今までも…二人で出かけることはありましたけど、そんな気合い入れたこともないですよ。なんで今回だけ…。」
そう言うと、三人ともくるりと振り向いた。
春風さんに視線を投げる。
「アッハッハ。でも後悔はしないと思いますよ。むしろその格好のままの方が後悔すると思いますけど…。」
スカートとシャツというシンプルな格好だが、まあ悪くはないかと…。
「でも、いつだったかあなた可愛い服着てませんでした?あの何だかひらひらしたやつ。」
「ああ、二日前に来ていた服ですか。あれはカナ…友達と買いに行ったもので、かなり高かったのでせっかくだからと持ってきてたんですけど…。」
「それだわっ!!春風、取っておいでなさい!!!」
「承知した!二日前に来ていたものならば洗濯して乾いているからね、待っていてくれたまえ!!」
春風さんが広い家の中を走る。
「霧雨さん、氷雨さんに洗濯物任せてるの?大丈夫?触って欲しくないものとかあるでしょ?」
「いやあ、春風さんって抵抗ないのか高校生の頃から普通にお風呂中にドア開けたり着替えてる時に部屋に入ってきたりするから、私も気にしなくなっちゃって。」
「いや気にしろよ。」
「お兄ちゃんのいう通りだわ!!何なの!?霧雨家の血筋は頭がおかしい人しかいないわけ!?」
「ちょっとハルナちゃんそれは聞き逃せない」
私たちが言い合っている間に、春風さんが戻ってきた。みんながジロリと睨みつけるなか、彼はニコニコと笑っていた。