第6章 陰鬱
それから全く眠れず、珍しく早く起きた。
せっかくだから朝ごはんを作ろう。実弥が作ると洋食だけど、私は和食。味噌汁と、ご飯と、卵焼き。
昨日のカレーは私のお昼ご飯にしよう。
味噌汁の野菜を切っていると、滑ってしまい添えていた手が切れてしまった。
「いたー…」
水で洗っていると、シンクに赤い血が流れた。
「ッ!!!」
夢の光景がフラッシュバックする。
力が入らなくてよろめいたが、何とか平静を取り戻す。
朝ごはんを作らないと。夢なんて関係ないんだから。
朝ごはんが完成する頃に、スーツ姿の実弥が起きてきた。
「おはよおー!今日はあ、野菜たっぷりの味噌汁と、ご飯と、巻けなかった卵焼きでーす!!」
「野菜スープとズクランブルエッグじゃねえのか。」
「ふふふ、味噌汁はお汁が見えなくなるくらい具が入っている方が嬉しいでしょー!?」
「まあ、そうだな。」
「優しい好き。」
そう言うと、黙った。
「むむ、感じますねえ。これは照れていますねえ。」
「…第六感塞げバカタレ」
実弥はそう言いながら卵焼きもといスクランブルエッグを口に入れた。
「悪いな、朝飯。ほっといてくれていいんだぜ。」
「自分のついでだよー。ああ、美味しくない。」
「お前どう言う気持ちでそれ言ってんだ。」
自分の料理を美味しくないと思いながら食べている気持ち??え??
自分の料理が美味しくないなんて思ってことなかった。お腹が満たされればいいでしょって味は気にしなかったなあ。
一緒に暮らして、わかることもあるんだなあ。