第35章 一休み
「こちらエステティシャンです。」
次の日の朝、スマホをリビングでいじっている私のもとに見慣れぬ女の人が来たと思えば、春風さんがそう言った。
「…えー…エステ、テシン、さん?」
「名前じゃないですよ。職業です、エステティシャン。」
「ああ!」
女の人はにこにこと笑っている。
…何で家にいるの?
「さんは疲れが原因で体調を崩されましたから、癒していただこうと思ってお呼びしました。」
「えッ」
「あ、この家サロンがあるのでご心配なく。」
は?と思っていると連れていかれた。そこにはテレビでしか見たことがないエステサロンが…。
「母の趣味なんです。この人も母のお墨付きのエステティシャンですよ。」
「お世話になっております。」
「じゃあ、私が今日会社へ行きますので。」
春風さんが退室し、私が唖然としているうちに説明やカウンセリングやら何やらをされ、あっという間に話が進んでいった。
いざ施術となると緊張する。
女の人とはいえ他人の前で肌を見せることってないんだけどな。まあ向こうは気にしてないだろうけど。こんなのやってもらったことないしなあ。
「あの、寝ても良いんですか」
「ええ、もちろん」
気持ち良かったのでうつらうつらとなった。
が、本当に寝るとまではいかずにずっと起きていた。