第33章 風邪
「と、いうわけでね…」
「まあ、不死川くんって案外可愛いのねえ。」
カナエがニコニコと笑っている。しばらくぶりに会えた親友と今日は女子会である。
カナエも実弥と同職だから多忙である。貴重な休日を私にくれるところマジで最高。
女子会といえどただお昼ご飯を一緒に食べたり、買い物をしたりだけど。
「ていうか、最近絶対あいつおかしいんだけど!!カナエ、何か知らない?」
「さあ…担当科目も違うし…。」
私はじとっと彼女を睨みつけた。
「嘘。嘘ばっかり。」
「あら〜。…やっぱり、どんなに隠してもわかってしまうのね。」
「わかるよ、何か知ってるなら話してよ。…職場でも仲良いんでしょ?」
私がそう言っても、カナエは首を横に振った。
「いつかわかるわよ。」
「…。」
「そんな顔しないの!!不死川くんは大丈夫だから、ね?」
カナエが明るい笑顔で言う。
「ほら、今日は私と楽しみましょう!!とびっきり可愛いおしゃれな服とか見に行こうね〜。」
「いや、在宅ワーカーはそんなの着る機会ないから。」
「そんなこと言わずに、日曜日に一緒に過ごすんでしょ?そこで着たら良いじゃない。」
カナエは言い出すと聞かない。
私はカナエに言われるがまま、服を購入した。久しぶりに着るものにこんなにお金をかけてしまった。
「お、お洋服ってお財布に優しくない…!!ひらひらしただけの布に…!!」
「ひらひらしてるから可愛いのよ?」
「柄じゃないよー…。」
「まあ、仮にも彼氏と一緒にいるなら、毎日可愛くしないと!!」
「それをしないで良いから実弥が好きなんじゃない。」
私がそう言うと、カナエはパッと表情を明るくして嬉しそうに笑った。
「素敵だわ、とってもキュンってきちゃった。」
「え、あー!!忘れて!!今の忘れてー!!!」
自分の失態に気付いて弁明するも、全く聞いてくれなかった。