第31章 風柱
「あ」
実弥から連絡がきていて、メッセージを開いてみると粂野さんとのツーショットが送られてきていた。嫌そうに粂野さんを止めようとしている必死な実弥とノリノリな粂野さんが一緒に写っていた。
『やっほー!休日満喫してる?実弥と仲良くやってま~す!by粂野』
私が思わず吹き出しながら画像を保存していると、優鈴が眉を潜めた。
「スマホ見てニヤニヤするってきしょいよ。」
「いや見てってば。」
優鈴に見せると、じいっと目を細めた。
「あー、いた。いたよいたいた。この兄弟子と強面。懐かし。」
「楽しんでるみたいでよかったよかった。」
「……貸してみ。」
「?」
優鈴にスマホを貸した。
すると、カメラをこちらに向けてきて…。
「自撮り?」
「最近覚えた」
初心者らしく手がプルプルと震えていた。
シャッターが切られた。そして、そのままちょっと操作をしてからスマホを返された。
画面を見ると、実弥に勝手にメッセージを送っていた。
『風柱くん、一日お借りしま~す。』
そしてさっきの写真。
即実弥から返信がきた。
『今すぐ返してください』
「………ぶっ、く、や、やっべ」
それを見せたら優鈴はゲラゲラと笑った。お前のせいだぞこの野郎。
「もう、実弥にちょっかいだすのやめてよ!」
「だってだって、本当に面白くて大好きなんだもん」
「はあ?私の方が大好きだし」
実弥と初めてあったときから優鈴はこんな感じ。旧新風柱の関係はそこそこ…まあ、良い。ということにしておこう。
「だから惚気んなっつってんの」
「だって優鈴に実弥とられちゃう」
「人の彼氏とるか」
優鈴のことを実弥は敬っているんだと思う。
だから同い年なのに敬語だし、あまりきつく言い返さない。
そんなんだから、優鈴が調子にのるんだよといつか言わなきゃいけないかな。