第30章 旧風柱の記憶ー未来の風ー
「では、ダメだと思えば止めますから~」
何でだよ。
は外で蝶屋敷の手伝いしてるし僕は僕で名前も知らない下級隊士の手合わせ…って何でだよ。
「あのさ、一応僕柱なんだけど。」
ボソッと文句を言う。
「柱って忙しいの。わかる?そもそもこの蝶屋敷にくるのも面倒だし、一々治療とかに専念するのもダルいの。まじ勘弁してくんないかな。」
「ゆ、う、れ、い」
聞きなれた声がしてそちらを向くと、大量の洗濯物を持ち上げるが稽古場の入り口にいた。
「いいじゃありませんか。あなたならすぐでしょう。」
それだけ言ってどこかへ行く。あーはいはい。次世代ね。繋げるのね。わかったわかった。やるやる。
「一本までですからね、二人とも。あと風柱様は寸止めでお願いします。」
「わかりました…」
はあ。
「壱、弐……うーん…」
相手の構え方とか色々見て、決めた。
「伍ノ型使うから、踏ん張ってね」
「ッ!?」
宣言されたことに驚いたみたいだった。
「僕の技が見たいだけなんでしょ。君はそこに立ってれば良いから。」
「じゃ、じゃあ、俺も!!」
強面じゃない方のもう一人が隣に並んだ。
「俺、こいつの兄弟子なんで!!!」
そう活発に叫んだ。
「……そう。じゃあ、守ってあげなきゃだね…。」
少し。
少しだけ、思い出すことがあったけれど。
僕はぎゅっと木刀を握りしめた。
息を吸い込む。
「全集中、風の呼吸、伍ノ型」
全力で…。と、そう思っていたけど。
(いた______)
「木枯らし颪ッ!!!!!!!」
踏み込みが甘い。木刀の握りもいまいち。
正直、不発。
前の二人はぶっ飛ばされて、今にも体を打ちそう…だけど。