第29章 出会い
昨日の反省を生かして休憩がてら買い物に向かった。おはぎもすっかり家猫になって、お留守番がきちんとできるようになったので買い物も楽。
でも一人にすると可哀想だからはやく済ませないと。
今日は、テレビでやってたチキン南蛮にしよーっと。タルタルソースも自分で作るんだ、頑張るぞ。
家に帰ってマンション入り口でポストを確認する。
広告のチラシぐらいしか普段は入っていないのに、珍しく個人宛の封筒が入っていた。
(…霧雨様…私宛?)
差出人が書いていない。
誰だろう。仕事は全部オンラインでしかやり取りしてないんだけど。
部屋に戻って、あとで見ようと思ってとりあえず料理と格闘した。メモを取ったレシピを見ながら必死に作り上げる。
「にゃあ」
おはぎもお腹がすいたみたいなのでエサをあげた。
「そうそう、今日は変な郵便来てたの。何だろうね~見てみよっか。」
「にゃん」
部屋に行って、おはぎを膝に抱きかかえて封筒を開けた。
中身を落とすと、バラバラとそれは出てきた。
「………え?」
唖然としてそれらを眺めた。
「…なに…こ…れ」
机の上に散らばったものは、写真だった。
このマンションに出入りするところとか、ゴミ捨てとか、買い物とか。
全部私の写真。誰かに許可した記憶も撮られていたことも思い出せない。というか覚えがない。
「………」
盗撮
この二文字が頭に浮かんだ。
おはぎが不思議そうに写真を見つめている。
呆然としていると、玄関のドアが開いた。
「ただいま」
実弥の声がした。
私はいてもたってもいられず、おはぎをおろして玄関に向かった。
「実弥…ッ!!!」
「ぐッ」
何も考えずに飛び付くように抱きついたので少し痛そうだった。が、持ち前の筋力で踏ん張っていた。