第27章 苦悶
ずっしりとした何か重いものが覆い被さってきた。
「え、ちょっと」
「かまちょ気分なんだろ、かまってやるよ…!!」
「いやいやいやそういう意味なわけないじゃん」
実弥の反撃が始まった。
私は近づいてくる彼を押し返した。
「却下!!おはぎの視線が痛いので無理!!」
「ああ!?」
私が指さすと、そこにはじっと私達を見つめる二つの青い目があった。さっきまでうろうろしていたのに急にぴたりと止まったのだ。
「………」
「はいおやすみ」
「………」
実弥は大人しく寝転んだ。
何事もなく、夜は終わっていった。
「行ってくるわ…」
翌日、あまり眠れませんでしたと言うような顔で実弥が通勤していった。
「最近の実弥はおかしいねぇ、おはぎ」
「にゃあ」
おはぎは赤ちゃん。日中はたっぷり寝る。今日も眠そうだ。
「………私達、赤ちゃんはいなくてもいいってなったのにね。」
頑張れば…頑張れば可能性はゼロではない。そう診断されている。けれど、私がもう嫌だった。
今度こそ、今度こそって期待して、検査薬の反応がないのも辛いし…。
「ていうか、私達まず結婚してないしさぁ。」
私が断ったんだから当たり前だ。
「実弥はその分、“二人”の時間を大切にしようとしてくれてるんだよね。」
「にゃ…。」
「ふふ、眠いよね。こんな話をしてごめんね。」
おはぎはソファの上で眠った。
私は仕事をしなければと、気合いを入れて部屋へ向かった。