第27章 苦悶
その後、さっさと寝る支度をしてふて寝してしまった実弥が気になっておはぎを抱っこして部屋を訪ねた。
「実弥ー…」
くるっと顔だけ向けてきたが、おはぎを見つけた瞬間に顔をしかめた。
「こらこら、そんなに怖い顔しないの。かわいいかわいいおはぎくんですよー!」
「にゃあ!」
おはぎをおろすとすたこらさっさと実弥のところに行った。
ほら、ちゃんと懐いてる。
実弥は自室に床に布団を弾くだけでベッドは置いていない。私はソファベッドを買ったけど、ベッドよりかはこの方がいいらしい。
「別にかわいくないわけでも嫌いなわけでもねえよ。」
おはぎが実弥の顔にすり寄る。
かわいい。かわいすぎる。なぜ私は今スマホを部屋においてきたんだくそう。
「良かったねおはぎ!!はちゃめちゃにかわいいし大好きだって!!」
「変に訳すな、アホ」
照れた気配がする。そっぽを向く実弥の隣に寝転ぶ。
「はっ、この布団すごく実弥の匂いがする。実弥臭がすごい。」
「加齢臭みたいに言ってんじゃねえ!!」
「安心して臭くないから!」
「うるせえ!!」
実弥が相変わらずそっぽを向く。おはぎが布団の回りをぐるぐると歩き回っている。こんなときでもかわいいなくそ。
「垂天遠霞」
「いって!!!」
しかしさすがに拗ねすぎだ。
めちゃめちゃ軽くだが呼吸を使った。
実弥はやっとこっちを向いた。
「何すんだテメエ…!!ていうか狭いんだから部屋に戻れって!!」
「たまには一緒に寝てくれても良くない?今日はかまちょ気分なんだけど。」
「25にもなって何がかまちょだよ…!!」
「というわけで寝ますおやすみ。」
「おい!!!」
むふふ。おはぎと私と実弥で同じ部屋で寝る。なかなか憧れの暮らしじゃん。
実弥の文句なんてスルーして、このまま寝てやる。
と思って目を閉じたが、そうはいかなかった。