第24章 青碧蒼
日が沈む頃、上手く働かない頭で自転車に乗って本屋に出かけた。
私が挿し絵を描いた本が発売されたので買いに行った。今から行けば実弥が帰る時間に間に合う。
しかし、本屋に入った私は店頭に並べられたそれを見て、私は悲鳴をあげたくなった。
青色だった。真っ青。今日描きかけた絵と同じくらい。
…いやいや、別に無一郎くんを意識したわけでもなんでもないし。
私はその本を買って書店を出た。
自転車に乗って家へ向かっていると、頭がぼんやりとしていたからか曲がり角から勢い良く飛び出してくる車に気づかなかった。
(おいおい、そっち一時停止でしょ)
てっきりとまるもんだと思っていた。慌ててブレーキをかける。車も音をたてて止まろうとしている。
(……ぶつかる…)
私は咄嗟に体を倒した。
ガシャン!!!と派手に音をたてて自転車ごと転ぶ。
痛い。受け身とったけど痛いもんは痛い。
パッと起き上がると、タイヤが虚しく回る自転車と、無事に止まった車が見えた。
「すみません!!大丈夫ですか!?」
中から出てきたのは若い女の人だった。
「ぶつかってませんか!?お怪我は!?」
「大丈夫です。転んだだけですから。」
痛かったけどそれは言わなかった。きっとこれはすぐに治る。そんな痛みだ。
一応連絡先を交換して別れた。私は自転車には乗らずにおして帰った。
駐車場に実弥の車が見えたのでもう帰っているらしかった。
何の連絡もしてなかったので怒られるかな、と思いながら部屋に帰ると実弥は明らかに不機嫌そうにしていた。
「おかえりィ」
「ただいま」
それでも挨拶はしてくれる。
「何してた…って、お前それ…」
「はい?」
頬を指さしてくるのでそこに触れた。
痛い。
「……擦りむいてる…」
「おいおいよく見たらボロボロじゃねえか!!何かあったのか!?」
ボロボロ…というと、確かに派手に転んだし、服は泥で汚れたりしていた。
…ちょっと破けてる。
「………転んだ。」
「転んだ…って崖から滑り落ちたみてえだぞ。」
快適に走っているなか急ブレーキからの自転車ごと大こけ…だからな。まあしょうがない。