第22章 先へ
「確かにかわいいな。」
身長180㎝ほどの強面の大人の男が小さな猫を抱っこするのがすごくかわいかった。どうしよう。世界の宝なんですけど。
猫はすっぽりと実弥の腕に入って、一歩間違えればつぶれそう。
実弥は動物が好きなんだ。懐かしいなぁ。カブトムシめちゃくちゃ飼ってたこともあったよね。うん。
「にゃあ」
しかし猫は、悲鳴のような声をあげてぴょい、と飛んで私の方にくるので慌てて受け止めた。
「……あ?」
「ぷっ、に、逃げられてる…!!!」
あまりにも、大きい人だったもので怖かったようだ。ああよしよし。この人実は優しいからね。
「な、慣れれば大丈夫ですよ。」
「そうですよねぇ。大きい人にビックリしたのかな?」
店員さんがフォローする。実弥はムッとしていた。
「ねえねえ実弥くん。」
「あ?」
「私この子がいいです。」
抱っこしながらじっと見つめる。猫は怖がって見向きもしない。
「本気か?」
「本気。」
実弥はそれだけ聞いて、首を縦に振った。
「わかった。飼おう。」
私はパアッと笑って、店員さんに顔を向けた。
店員さんはどこかほっとしたように微笑んだ。
「では、少し手続きの方を…お時間よろしいですか?」
「はい!」
私たちは然るべき手続きや説明、保健やワクチンなどの説明を受けた。この子はあらかたの処置は終わってるとのことだが、やはりやることがたくさんあるみたいだ。
飼うにあたり必要なものも説明を受け、セットになってるやつを買った。