第22章 先へ
最後に部屋を出るとき、ちらりと振り返った。
そこには思い出以外何もなく。
私は静かにドアを閉めて鍵をかけた。
書類とか契約とか色んなものを片付けたらもうさようならだ。
しんみりしちゃう。
私はパン、と頬を両手で叩いて自分に渇を入れた。
行こう。実弥が車で待ってる。
新居にやって来た。実弥も何回か見にきていて手伝ったけれど、あまり暇もなくほとんど私がやった。
「……本当に悪かった…」
改めて謝罪された。
パソコンを設置してとりあえず仕事が出きる環境を整えた。
その他もろもろはまあおいおいやっていこう。
「。」
「なに?」
部屋の整理が終わる頃に実弥が声をかけてきた。
「落ち着いたら飯食いに行こうぜ。あと必要なもん買って、ペットショップな。」
「ペットショップ?」
「ペットオーケーな物件なんだから当たり前だろ。」
実弥がさも当然のように言う。
あ、そうだった。ペット飼うために引っ越したんだ。
「やった~!!ペット飼えるなんて夢みたい!!ありがとう実弥!!!」
「いや、俺はなにもしてねえし…。」
「楽しみすぎてやばい!青い目の子がいいな!!とびっきり可愛い子!!」
「おいおい、いきなり決めるとは言ってねえぞ。まずは様子見で行くんだ。」
「わかってるよ。命だもんね。」
私はそれでも楽しみで、ついつい笑ってしまった。