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【ヒプマイ】素寒貧な男の手懐け方

第1章 雨の中で拾った男


「いや、この間のディビジョンバトル、テレビ中継されてたので、外見がよく似ているなって思って」


「そういや、中継されてたな。なら俺が知らなくても、俺のこと知ってる人が居て当然か。あんたの言うとおり、俺は有栖川帝統だ」


「他のお二人はどうしたんですか?」


「いや、幻太郎は小説の題材を探しに行くとか言って旅行行っちまうし、乱数も何かよくわかんねーけどしばらく事務所空けるっつーし。だからこうしてここでぼーっとしてる」


急にこの人に興味がわいてきた。男の人を家に上げるなんて危険だけれど、少し話をしてみたい、そんなミーハーな気持ちに駆られる。


「風邪を引いたら大変ですし、もし良ければうちに上がりますか?」


その一言に、有栖川さんは、目を輝かせて飛び上がる。


「まじかっ、本当に良いのか!?」


「ええ、まあ。一晩だけなら」


「ありがてーっ。それじゃあ、お言葉に甘えて、お願いしますっ」


立ち上がり、大げさに頭を下げられると、求められたような気がして嬉しかった。


「私の家は2階なので、こっちです」


先導するように階段を上がっていくと、後ろからうきうきと体を弾ませながら彼がのぼってくる。

部屋の鍵を開け、中に入ると薄暗い部屋が広がった。私は先に上がって部屋の電気を付け、手で部屋の中を指し示した。


「どうぞ」

「どうも、お邪魔します」


有栖川さんは靴を脱いで家に上がる。彼は想像以上に服が濡れていて、私は浴室からタオルを持ってくると有栖川さんに差し出した。

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