第2章 欲求不満な女
有栖川さんの声にも段々余裕がなくなってきている。そのまま達するのかと思えば、一度ソレを抜き、私は強引に仰向けの状態にさせられた。
「顔見せてくれ」
そう言って、私の足を上に持ち上げると、膝を抱えるような体勢になって、また有栖川さんが私の中へと入ってくる。ストロークが性感帯と、子宮口を激しく突き、私は完全に蕩けていた。
「んあっ、ありす、がわさんっ」
「帝統で良い」
「あっ、帝統、もう、イキそう」
「駄目だ。まだイかせない」
私の上に覆い被さり、唇を重ねる。一度目や二度目のキスとは違い、自分から彼を求めた。彼もまた私の舌を絡め合い、口付けの合間に銀糸がそっと引いては、また重ねる。
その間にも帝統は私の子宮口を勢いよく攻めてくる。中にそのまま欲しい、と一瞬過ぎったけれど、私はその欲望を意識の遠いところへ飛ばした。
「美月さんが、こんな激しいと思わなかった、俺は嬉しいけどな」
欲情した眼差しが、ふっと緩まる。あの時の人なつっこい顔に少しだけ戻ったかと思えば、また逸らすことを許されない鋭い眼差しで私を見下ろす。
「欲求不満だったの、きっと」
「なら、次の彼氏が出来るまで、俺を使ってくれ」
「……ありがと」
「っ、そろそろ、イキそう」
私たちは見つめ合い、もう一度口付けを交わすと、帝統は私の中で果てた。
ドクンドクン、と脈打つのを感じながら、満たされた気持ちと、少しの寂しさを覚えた。
帝統がそっと中からソレを抜き去り、白濁液が溜まったコンドームの口を縛ってゴミ箱に捨てると、私の横に寝そべる。
「なあ、俺、まだまだいけるんだけど。朝まで付き合ってくんねえか」
横を向きながら、ねだる眼差しを向けられる。
――私も、もっと彼を感じたい。甘い誘惑に私は簡単に負けた。