第2章 欲求不満な女
「俺が本物かどうか、試してみるか?」
そう言うと有栖川さんは私の手首をぐいっと引いて、屈んだ私の顎を掴むと、唇を奪った。
「んっ……!」
有栖川さんの舌が唇の隙間から入ってくる。私は自分の舌で押し返そうとしても、それを絡め取られ、ゆっくりと歯の裏をなぞってから唇を離した。
「っは……、からかうのは、やめて下さい」
私は手首を振りほどくと、床に尻餅をついて、ふいと顔を逸らす。でも顔は真っ赤で、体中は熱くて、おかしくなりそうなほど鼓動が早く脈打っている。
有栖川さんは体を起こし、私の顔をのぞき込む。
「俺は全然、からかってないぜ」
私を見つめるその瞳は、元彼が私の体を求める時にする瞳とよく似ていた。
「俺が本物か確かめたいなら、もっと直接、俺に触れれば良い」
有栖川さんは私の手を引くと、服の上から胸、腹部、そしてズボンへと這わせていく。股の間に手が触れると、服越しにもう硬く隆起しているのが分かる。
その感触に、ビクッと肩が震えた。
「そっ、そんな強引で乱暴なやり方、ありえないですっ」
「でも、顔は真っ赤で、瞳は俺を欲しそうに揺れてるぜ」
有栖川さんはまた私の唇を奪った。さっきとは違って、情熱的で、激しいキス。私は体をベッドの上に引き上げられ、彼が上に覆い被さると、片手で寝間着のボタンを外されていく。