【鬼滅の刃】【不死川実弥】だからこそと言えるように
第15章 人生観
前世のことを忘れてるとは少し違うか。
記憶は確かにある、鬼滅の刃に関する記憶も無限列車編前ぐらいまでは覚えてる。その記憶は確か。
でも、朝倉結衣としての"自我"より、冨岡結衣としての自我、意識が強くなっている。
それがとても怖い。
前世のことが無かったことになってしまうみたいで。
家族のことを忘れてしまいそうで、諦めてる事を、
認めてしまうのが冷たい人間の様で、ずっと怖かったんだ。
悪夢で、ずっと"忘れないで"と、私を朝倉結衣とたらしめていたのは、私自身なんだろう。
でも、私はこの世界で冨岡結衣として生きることを"選んだ"んだ。
たとえ、前の世界に生き返れるとしても、選んだ私にはもう、そんな権利なんて、ない。
私は、冨岡結衣に成る。
今日でもう、なったんだ。
なんだか少し、晴れやかな気分かもしれない。
あと、あの子に気付かされたのは、私は焦っているんだろうという気持ちだ。
あの子に憎しみをぶつけられて、とても焦ってしまった。
"助けられない人"がいるなんて、私は強くないんじゃないかと。
たしかに、炭治郎にも心配されてしまったし。
誰にも、心配されないぐらい強くなれれば。
結衣
『もっと強くなれれば。
きっともう、"守らないといけない"なんて、思わせないでいいよね。
お兄ちゃんが頼ってくれるぐらい。前みたいに心の底から笑い合えるように、なれるよね』
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炭治郎side
帰ってきて喉が渇いたのでひささんに聞いて台所でお茶を淹れようとしてきたら、聞いてしまった。
結衣の本心。
ずっと焦って、強くなろうと焦って。
だから、冷たい匂いがしていたのだろうか。
ずっと、悲しくて少し寂しかったのだろうか。
お節介かもしれないけれど、冨岡さんに少し結衣と踏み込んだ話を進めてみようかな。