【鬼滅の刃】【不死川実弥】だからこそと言えるように
第15章 人生観
兄さんを助けてくれなかった、か。
結衣
『私たちは、人間だよ。神様ではないのよ。超人的な力を持ってる訳じゃない。』
私は、丘の上で亡くなっていた人を助けられなかった。
この子が私以外の隊士の任務のことで怒っているとしても、決して他人事ではない。
そして私は姉を鬼のせいで失っている。
だから、先日、炭治郎に対して"鬼なら迷わず切る"と言ったのだろう。
だって、姉を殺した鬼が憎いから。
?
「それでも!鬼を倒してくれたのに!兄さんが亡くなる前にやっつけてくれても良かったじゃない!!どうして、兄さんが!!」
結衣
『…だから、言ってるでしょう?私たちは人間で、神じゃない。どこでいつ鬼が現れるか予言できやしないの。助けられる状況には限りがある』
だから、これ以上被害が広がらないよう、与えられた任務は死ぬ気でこなすの。
?
「あなたはいいよね!のうのうと生きてられるなんてきっと、家族や友達を殺されたことなんてないのよね!だからそんなこと言えるんだ!」
ふざけるな、
誰が、
誰が助けられなかった命があってのうのうと生きてるんだ。
ふざけるな、ふざけるな。
私は姉を失ってるんだ。
兄の笑顔も、失ってるんだ。
友達で、好きだった人も失ったんだよ!
炭治郎
「やめないか!!」
結衣
『…!!』
ポタポタ…。
音のする方を見ると、
私の掌からは、血が流れていた。
手を強く握りすぎていたらしい。
手にできた豆をまた潰してしまって、血が出ていたみたいだ。
?
「…!?お姉さん、その手、豆…。て、手ぬぐい!治療しないと!!」
私からは驚くほど冷たい声が出た。
無意識だった。
結衣
『いいよ、自分でできる。
人を助けられない私に、人に助けられる資格なんてない』
?
「…っ!!」
少女から、申し訳なさそうな表情と、悲しそうな色が見えたが
私は目を伏せ、無視をして部屋を出ていってしまった。
--------------------
------------------
----------------
善逸side
すごく、すごく無表情で、
どこか前から感じていた冷たい音を強くして
結衣ちゃんは部屋から出て行ってしまった。