【鬼滅の刃】【不死川実弥】だからこそと言えるように
第4章 兄
結衣side
寝たフリをしてこっそりとお兄ちゃんの様子を伺う。
『……。』
義勇
「……。」
ガタンッ!!
目を開けると、お兄ちゃんが勢いよく窓を開けていた。
そして窓から飛び降り、走り出して行った。
間違いなく今だ、今一緒に行けば着いてける。
私も全身に力を入れ、お兄ちゃんのあとを追った。
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義勇side
義勇
「……。」
今は寝ている愛おしい妹を眺め、脱走の機会を伺う。
と言ってもこの時間帯はほとんどの人が寝ているようで、容易に出来そうな雰囲気だ。
ゆっくり、妹を起こさないよう……いや
早期決着、俺は今完全に怪しまれている状況だ。
結衣が起きそうではあるが、素早くした方が良いだろう。
ガタンッ!!
勢いよく窓を開け、全力で夜の闇へと向かって行く。
俺の中にあるのは不安だけ。
助かるなんて思ってはいない。
だが、何もしないよりは俺の中で心に余裕が生まれる。
そんな自分のためだけの脱走に妹を連れるなんてダメだろう?
そういえば、結衣は……。
!?
義勇
「なぜ着いてきた!!」
妹は覚悟を決めた顔をしてこう呟く。
『なら、お兄ちゃんもなぜ脱走しようとしたの?』
妹はこんなに賢かっただろうか。
いや、先刻よりずっと大人びている。
俺の事はにぃに呼びだったはずだが、お兄ちゃんになっているのが証拠だ。
そして、自分のことを私と言う。
それよりも圧倒的に変わっているのが顔つき。
妹の中で何かが起こっている不安もまた俺を襲った。
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結衣side
義勇
「……医者に見られる必要がない。ただそれだけだ」
絶対嘘だ。
お兄ちゃんは自分の心を優先して、死に行く方を選んではないだろうか?
こんな所に逃げたって、助かるはずもない。
お兄ちゃんの心が知りたい。色では判断できない。
ずっと不安の色しか見えない。