【鬼滅の刃】【不死川実弥】だからこそと言えるように
第4章 兄
電車に揺られ、車窓から見える山々を見る。
山の青が恐ろしいほどくすんで見えるのに、空は青々とした晴天。
姉を亡くし、私たちは絶望の中にいるというのに、世界は変わらず普通に動いている。
そんな現実を景色から感じ取ってしまい、気が滅入る。
義勇
「……結衣、俺は脱走する。結衣は来るな。」
あぁ、そうだったな。
でも、脱走してその後どうするんだろう?
行くあてなんてないだろうに。
『どこに……行くの……?』
義勇
「……。お前は残れ。」
わからない。それだけじゃわからない。
いや、わかってるけど、わからないふりをする。
『どうしてそんなこと言うの?』
義勇
「ごめん……。」
しばらく会話が続かず、嫌になるほど汽車の音が耳についた。
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いつの間にか夜になった。
私は起きていたが、兄は寝ていたようだった。
考えることが多すぎて、時間の流れを感じなかった……。
脱走か……。どうしようか……。
いや、ずっと考えてたんだ、結論は出てる。
私はお兄ちゃんについていく。
せめて、お兄ちゃんは助けたい。
足でまといになるかもしれないけど……。
何かしないとまた後悔する。
勇気を出さなきゃ。やらなきゃ。
後悔してからじゃ遅い!!
こんな不自由で、危険な世界。
でも
だからこそ
私はこの世界で戦う
自分の足で立って、鬼を倒そう。
そうすればみんな助かる。
そうすればきっと、私も兄も助かる……。
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義勇side
蔦子ねぇさんが鬼に食われた。
俺の心は酷く傷ついているのに
大人は俺が言うことを否定ばかりする。
でも、結衣は違った。
俺を信じてくれた。
だから、大切なお前を
親戚に引き取らせることを許してくれ……!!