第4章 honey.4
「………」
晴美さんが反対してくれればと思った俺の考えは見事に打ち砕かれ、これ以上の反論が出来なくなる。
いや、反論したいことは山ほどあったかも知れないが…。
冷静を保てない今の状態でその反論は浮かんでこなかった。
『もう質問はないか?まあ、歩ちゃんもいるから大丈夫だろう?』
普通年頃の男女を一つ屋根の下に置き去りにして、しばらく帰らないとか…。
……ん?
そういえば…。
「……親父」
『ん?』
少しトーンが下がった俺の声に何かを感じ取ったのか、親父も声を潜めた。
「歩がおと…」
「こっちは全然大丈夫ですよー!」
『おっ、頼もしいね歩ちゃん!』
「もちろんです!楽しんできて下さいねー!」
こいつ…!
隣にはいつの間にか風呂から上がってきた歩がいて、俺の手から奪った受話器を耳に当てて親父とワイワイ話している。
親父に聞きそびれたな…。