第4章 honey.4
『まあ、落ち着け真澄』
これが落ち着けるかっ!!
とは思ったが、このままでは話が進まない。
俺は深呼吸をしてから受話器を耳に当て直した。
「…落ち着いた」
『そうか、じゃあお前の質問に答えるかー』
いいからさっさと答えろと心の中で促して、言葉の続きを待つ。
『俺達はしばらく帰らないことになった』
「………」
はああああああっ?!
驚きと呆れといろいろな感情が渦を巻いて言葉が出ない。
「ちょ、待て。は?…っはあ?!」
『いやー日本は寒いだろー?こっちの方が生活しやすいんだよなー』
あはははっと笑う親父の陽気な声が受話器を通して俺の耳に伝わる。
どれだけ自己中なんだこの男は!!
「…こっちはどうすんだよ」
『お金の心配か?それなら大丈夫だ!ちゃんと仕送りするから』
「…晴美さんは…?」
『もちろん賛成してくれてるぞ!』