第4章 honey.4
パジャマ代わりのシャツを着て、ガシガシとタオルで髪を拭きながらリビングに入る。
そこにはすでに歩が用意した夕食がテーブルの上に置いてあった。
ボウルに入ったサラダ。
テーブルの上にあるお皿の上にはまだ何も乗ってはいない。
移動してキッチンに入ると、鍋には味噌汁、そしてまだ焼かれていないハンバーグが置いてあった。
…今日はハンバーグか。
ちらと風呂場がある方に目を向ける。
歩は長風呂をするタイプではないので、俺はタオルを首にかけてフライパンを火にかけた。
油を引いてからハンバーグをフライパンの上に乗せていくと、リビングの電話が鳴り出した。
「?」
なんとなく予感がして、俺は急いで受話器を手に取る。
「もしもし?」
『あっ、真澄か?久々だなー、元気にやってるか?』
この声は…。
「親父っ!!」
『お?なんだ?』
なんだ?じゃねえ!!
「今どこにいるんだよ!っつかいつ帰ってくるんだよ?!」
普段通り変わらない親父に苛立つ気持ちを隠せないまま、受話器に向かって声を張り上げる俺。
電話の向こうで親父が受話器を遠ざける姿が容易に想像できた。