第4章 honey.4
歩の言葉を聞いた瞬間に俺は蛇口をひねった。
最後までやる?
冗談じゃねえっ!!
いきなりのシャワー攻撃にすっかり隙をつかれた歩は、全身びしょ濡れになっている。
「真澄のばかぁ!冷たいーっ!」
「そのまま風呂入ってこい!」
座り込んで頭を左右に振って水しぶきを飛ばす歩を置いて、俺は風呂場を出ると勢いにまかせて扉を閉めた。
誰が最後までやるか。
あんな、屈辱的なこと…。
彰の言葉を思い出して、腰から尻にかけて手が無意識にそこを辿る。
…入るわけがない。
そこまで考えてはっと気付く。
何で俺が突っ込まれる側なんだよ!!
「…はぁ」
近頃はため息ばっかりな気がする。
俺はカゴの中に準備しておいたバスタオルを掴むと、冬の寒さに体温を奪われた体を拭いていった。