第1章 honey.1
「高校はどうすんの?
こっちに引っ越して来たんだろ」
「編入試験の結果次第です」
わざわざ食べる手を止めて俺の質問に答えてくれる。
何も言わなくても料理を作ってくれるし、こんな状況でも落ち着いている。
いきなり男と二人きりって、嫌だとか思わなかったのか?
彼女が気にしていないのなら別に何かを言うつもりはない。
パクパクと口を動かしながら俺は質問を続けた。
「どこ受けたんだ?」
「白銀高校です」
「え、まじ?俺の高校じゃん」
「はい。受かったらよろしくお願いしますね」
そこからは俺の高校の話になり、全く俺を警戒した様子がない歩ちゃんとしばらくの間楽しんでいた。
彼女の薄い笑みに気づかずにー…。