第1章 honey.1
それから食器の片付けを手伝った俺は風呂に入り、部屋に戻って来ていた。
あっと言う間に過ぎた一日。
これがあと一週間。
気まぐれな親父の言葉をすんなりと信じることは出来ないが、あの子となら大丈夫な気がする。
喋りやすいし結構俺に懐いてくれている。
年下と言うこともあって俺もそこまで気を使わなくてもいいし。
これを機に兄妹気分を味わうのもいいかも知れないと、無意識に俺の口元に笑みが浮かぶ。
思えば今まで兄妹はおろか、両親と一緒に過ごした時間と言うものはあまりなかった。
俺が生まれた時から両親の愛はとっくに冷え切っていて、共働きだったから生活のリズムも合ってなかった。
誰もいない部屋でいつも冷めた食事を口にしていた幼い俺。
あの時は兄妹が欲しいといつも願っていた。