第4章 honey.4
こいつにしては珍しいと思っていると、歩はにっこりと笑みを浮かべて口を開いた。
「そのまま浸かってるとのぼせて気絶しちゃうよ?」
「…っ」
「背中…流してあげる」
数秒の沈黙がおり、俺は一つため息を吐くとふいっと顔を背けた。
…確かに体はもう限界に近い。
このままお湯に浸かったままでは気絶してしまうだろう。
…もう二度と長風呂はしねぇ。
「分かった」
「じゃ、早く上がって?」
ちっと舌打ちした俺は、くらくらする頭を押さえながらゆっくりと湯船から体を上げた。
熱いお湯から解放されてやっと一安心するも、背後にいる歩が気になってさっきからそわそわしている。
こいつが背中だけ流して、何もしない確証は、どこにも…無い。
「…変なことするなよ」
「それは、して欲しいってこと?」
ぬるっ。
「ばっ!違うっ!!」
後ろから抱きしめるように歩は腕を回してくると、石鹸で滑る指先で胸の辺りをまさぐり始めた。