第4章 honey.4
そんな俺の状態に気づいた歩が風呂のふちに手を置いて、下から上目遣いで見てくる。
「っ、何だよ」
「真澄もう頭ぼーっとしてるでしょ?」
ちゃぷっと手を湯船に浸した歩が楽しそうに口角を吊り上げた。
入浴剤入れてて正解だったな…。
白濁したお湯は俺の肌をすっかり隠してくれている。
「分かってんなら、早く…っ」
「なんかエロいね、真澄?」
挑発するような笑み。
クラクラしてきた頭。
「言うこと聞け、ばかっ…ぁ!」
つ、とお湯につけていた歩の指先が何も纏ってない俺の素肌をなぞった。
びくっと震えた俺を見てさらに気を良くしたのか、歩はその指先をさらに進め首筋に到達した。
このやろ…っ!
趣味の長風呂が仇になるとはおもわなかった。
「やめろ!」
のぼせたせいで余り力が入らない手で歩の手を払いのける。
意外にも歩はそのまま手を引っ込めた。