第4章 honey.4
「はぁ…」
温かなお湯が体に染み渡ってくる。
濡れた髪が肌に張り付く感触に、俺は前髪をかきあげた。
夏に長風呂は出来ないから、冬の長風呂は俺の趣味でもある。
両親が海外に新婚旅行に行ってすでに一週間が経っているが、未だ何の連絡もない。
くそ親父が…!
どこのホテルに泊まっているのか、どこに行ってるのか何も知らない俺から連絡することは出来ない。
それがもどかしいが…歩がいろいろと家事をしてくれているので、大きな問題は今の所ない。
あいつは親父達がどこに旅行に行ったのか知ってんのか…?
両親をにこやかに送り出した歩の姿を思い出して、俺はふっと自嘲気味な笑みを浮かべた。
初めて妹が出来た喜びは、その日の夜に打ち砕かれ。
俺は義理の妹の正体が男だったと知ることになる。
そう考えると俺も随分歩の存在に慣れたことだ。