第3章 honey.3
「まっすーん…」
つんつんと頬を突つかれて眉をしかめる。
「…まっすーん」
まだ眠いんだから話しかけんなよ。
っつか何でここに彰がいる?
鍵は締めたはずなのに…。
目を閉じたままでも分かる彰の気配を感じながら、その存在を無視する。
「………」
しばらくすると頬を突ついていた手を引っ込めた彰に、このまま教室から出て行けと願う。
またうとうとと眠りに落ちようとした時、悪魔の囁きが耳に届いた。
「起きないとちゅーするよ?」
「っ?!」
ふにっと唇を指先で触られてガバッと体を起こすと、口元に笑みを浮かべる彰の瞳と視線が合った。
「お前…本当死ね」
「まっすんこわーい」
わざと怖がる演技をする彰に苛立ちが募っていく。
視線をズラすと、前の方の扉が開いていた。
…あっちには鍵かけてなかったからな。
机が固めて置いてある前の扉から教室に入るのは結構めんどくさい。
だから入ってくることもないだろうと思っていたが…。
次からは鍵をかけておこうと決心した俺は、彰に視線を戻した。