第3章 honey.3
ここに来る前に購買に寄って買ってきたパンを頬張りながら、なんの変哲もない天井を眺める。
頭に浮かぶのはあいつの顔。
何かが胸に突っかかる。
微かに瞳の奥に浮かんでいた嫉妬にもにた怒り。
………嫉妬?
いや、俺は何を考えてんだ。
たぶん歩の怒りはおもちゃをぶんどられた幼い子供が抱くようなものだろう。
あいつは俺の反応を見て楽しんでるだけだ。
それから…悲しそうなあの顔。
高2にしてはやけに大人びた哀愁を漂わせるような表情。
くそっ、めんどくせえ。
ガシガシと頭をかいてからパンがなくなった袋を床に投げ捨てる。
何で俺があいつの心配しなきゃいけねーんだよ。
好き勝手に身体を弄ばれてんだぞ?!
「……ちっ」
短い舌打ちを残してゴロンと寝返りをうつ。
男にあんなことされてイっちまう俺も俺だ。
こんな風に色々考えてしまう時は寝てしまうに限る。
閉じたまぶたの裏に浮かんだ歩の顔を打ち消して、俺は深い眠りに落ちていった。