第3章 honey.3
「さっき…声漏らしてたよね…?」
「はあ?何の話だ」
ギロリと睨み返すと、歩は俺の制服に手を伸ばしてネクタイを緩めた。
「おまっ、何やって!」
「彰センパイに触られて感じちゃった?」
慌ててその手を止めると歩はますます不機嫌な顔をして、思いっきり俺の肩を握って壁に押し付けた。
「っ!」
さっきまで背中にあった壁に正面から押さえ付けられる。
冷んやりとした壁の感触が頬から伝わって歩の姿が見えないため、何をされるか分からない恐怖が這い上がってくる。
「何すんだ!」
「黙って」
低い声色に思わず体がビクッと跳ねる。
ガチャンッ。
「?!」
両手首に冷たい何かが…。
一定距離に保たれた両手首。
動かせば食い込んでくるこれは…。
手錠…っ?!