第3章 honey.3
自然と無言になった俺と歩の間に静寂が落ちる。
なんとなく気まずくなった雰囲気に、後で彰を締めようと考えているとぐいっと腕を引かれだんっと壁に体が押し付けられた。
「なっ!あゆ…むっ、ん!」
抗議することを許されずに塞がれた唇。
慌てて体を離すも、その度に離れては塞がってを繰り返し徐々に息が上がってくる。
酸素を求めて開いた唇に容赦なく歩の舌が捻じ込まれ、息が苦しい。
くそっ…!
やられっぱなしは釈に合わない。
しかもこうして壁に押し付けられるのはこれで二回目だ。
年下に、しかも妹として家に来たやつに。
「ん…ふっ、…んん」
激しく絡めとられる舌の感触に頭がぼんやりとしてきて、言いようのない怒りがじわじわと湧き上がってくる。
俺はその怒りを抑えることが出来ず、口の中を蹂躙している歩の舌をガリッと噛んだ。
「ぃたっ!!」
すぐに俺から離れた歩が口を押さえる。
俺の口内には歩の血の味が微かに広がっている。
「噛むことないのに…」
ペロッと舌を出し唇を舐めた歩は、壁に手をついて俺を囲う。