第2章 honey.2
キーンコーンカーンコーン…。
鳴り響くチャイムの音を聞きながらも、ゆったりとした足取りで俺は中庭を歩いていた。
さむっ…。
風が体をなでる度にぶるりと寒さに震える。
日が照っているだけまだましだが、寒さに弱い俺には辛い。
暑すぎるのも寒すぎるのも好きじゃない。
春や秋と言った季節のほうが好きだ。
吐いた息が白く空に上がっていく様子を目で追っていた俺は、校舎と校舎の隙間から伸びてきた腕に気づかなかった。
ぐいっ!!!
「っ?!」
完全に油断していた俺は抵抗する暇まなく、校舎の影に引きずり込まれた。