第2章 honey.2
耳に張り付くその声が今は気持ち悪く感じる。
「女遊びも程ほどにしろよ」
電話を終えた彰に呆れたように言うと、目を見開いたあとでふっと笑う。
「まっすんには言われたくないけどね。
じゃ、俺先に行くから話はまた今度」
ひらひらと手を振った彰の姿が見えなくなると、俺ははぁと息を吐いた。
自分の口からあんな言葉が出るとは思わなかった。
「女遊び…か」
今まではしょっちゅう誘われるがままに体を重ねていたが、歩が家にいるようになってからはそれも無くなった。
そういえば、さっきのは本当に歩だったのか?
柵に肘をついて下をみて見ても、もう生徒の姿はほとんどない。
時計を確認してみると後数分でチャイムが鳴る。
俺は一度体を伸ばすと屋上の扉に手をかけた。