第2章 honey.2
誰もいない屋上で落ちないようにと囲まれたフェンスに体を預け、俺と彰は座っていた。
「ふーん、兄弟でキスしたり一緒に寝たりする…かあ」
立ち入り禁止のこの屋上に俺達以外は誰もいない。
だからこそ気兼ね無くこんな人に聞かせられないような話も出来るのだ。
「まっすん、欲求不満?」
「………」
それは否定できない。
確かに近頃は色々と忙しくて遊んでいなかった。
「欲求不満ならさっさとヤっちゃえよ。
女なんていくらでもいるだろ?」
爽やかな顔してよくこんなことが言える。
チラリと横を見ると相変わらず綺麗な色素の薄い髪が太陽に反射していた。
「…お前がモテる理由が分からねぇ」
「顔だけはいいからな!」
きりっとこちらを振り向く彰にため息を一つついて、空を見上げた。
青々とした清々しい空なのに。
なんだ…?
この、妙な胸騒ぎは…。