第1章 honey.1
いや、順応力高すぎだろこの子!
「歩ちゃん、だったか…?
いきなり俺が兄貴とか、そんな簡単なことじゃ…」
「グダグダうるさいぞ真澄!
ほら、握手して!これでお前達は兄妹だ!」
はあぁっ?!
無理やり俺の右手を掴んで歩ちゃんと握手をさせると、親父は俺達の肩を叩いて満足そうにリビングに戻って行った。
あんのクソ親父!
「…ぃたっ!」
「っあ、悪い!」
怒りからぐっと握った手に力を入れてしまった俺は、まだ歩ちゃんと握手をしていたことを忘れていた。
慌てて手を離すと、ホッとした歩ちゃんはニコリと俺に笑いかけた。
「写真通りで安心しました。お兄ちゃん」
その呼び方は違和感がある。
っつーか、写真通りって何だ?
「リビングに母も居るので、とりあえず行きませんか?」
未だ玄関に突っ立ったままの俺は歩ちゃんの提案を受け入れ、一緒にリビングに向かった。