第2章 honey.2
それから三日がたった。
ガチャ…。
「おかえり真澄ー!」
「……」
学校から帰って来た俺を出迎える可愛い妹。
ただしその正体は女の毛皮をかぶった男だった。
玄関先でニコニコと笑う歩を誰が男だと思うだろうか。
相変わらず茶色の髪の毛をツインテールにし、短いスカートをはいている。
何故歩が女装をしているかなどは知らないが、正直俺はどうしたらいいのかわからない。
しかも何故か呼び方が
お兄ちゃん→真澄サン→真澄
に変わっている。
敬語なんてもうほとんど使われない。
こいつは俺を何だと思ってるんだろうか。
まとわりついてくる歩を適当にあしらってリビングに入ると、すぐさまコーヒーを持ってきてくれる。
こーゆう所はよく気がつく。
兄弟初日の時にも料理を作ってくれたっけ。
ただ…。
「真澄、手冷たいね」
「寒い中外に出てたからな」
マグカップを持つ手とは逆の手に指を絡ませてくる歩。
これはスイッチが入ったな…。