第15章 【特別編】甘え日和。
少し向きになりすぎたかと後悔の念が心に生まれた時。
「真澄……ったぁ…!」
小さく聞こえた歩の呻き声に慌てて振り返ると、蹲る小さな影が目に入った。
「…歩?」
「っ、何でもない…」
近づこうとする俺にそう言って立ち上がろうとした歩だったが、すぐにバランスを崩してしまう。
俺は慌てて駆け寄り、その身体を支えてやる。
痛みに顔を歪める歩に視線を下ろすとかすかではあるが、足首が腫れているように感じた。
しかし、黒のタイツを履いているので詳しいことが分からない。
人にぶつかった時か…?
原因を頭の中で並べながら歩の足首に触れると小さな悲鳴が頭上から降ってきた。
「ちょっと見せてみろ」
「少し捻っただけだよ…」
「いいから見せろ!」
語尾を強めて歩を黙らせた俺は、地面に膝をつき歩の足をそこに置く。
歩は押し黙ったまま俺の肩に手を置き、じっとその様子を見つめていた。