第15章 【特別編】甘え日和。
「真澄ごめんってー…」
後ろから聞こえてくる歩の声を無視して帰り道を歩いていく。
あの少し戸惑った店員の顔が忘れられないが、歩が女の子の格好をしていたのがまだ救いだった。
レジを通された後に返品しますとも言えずに、俺は震えながらお金を払った。
少し反省しろっ!
後ろからついて来る歩の気配に一応気を配りながらも、足早に家を目指して歩く。
もちろん俺が持っているレジ袋の中には歩が隠していたあれが入っている。
「真澄ぃ…」
気が抜けそうな歩の声が後ろから追うようについて来る。
歩からすれば冗談のつもりだったかもしれないが、俺にとってはそうではない。
アレを買ったことが無いとか、使ったことがないとかそう言う訳ではないのだが…。