第15章 【特別編】甘え日和。
訳が分からないまま、俺もクレープを口にしていると隣に座っていた女子グループの声が耳に届いた。
「ねぇねぇ、あのカップルすっごい美男美女!」
「彼氏さんかっこい〜羨ましい〜っ!!」
「女の子もお人形さんみたぁ〜い!」
…カップル?
はぁ?!
ばっと隣の席の女子グループを見るときゃあきゃあと騒いでいた彼女達と視線が交差する。
ここで俺のことを“真澄”と呼んだ意味が分かったような気がした。
お人形さんみたいって、こいつ男だぞ…。
あの女子グループの子達に真実を教えてやりたくなる気持ちをコーヒーで流し込んでいると、前に座っている歩がニヤリと口角を吊り上げた。
何がしたいのか全く分からない。
兄だといったり、カップルにみせかけたり。