第15章 【特別編】甘え日和。
俺の答えに満足したのか、歩はその真っ白なワンピースと、店員に勧められた上着、そしてネックレスやスカートもろもろも購入した。
「13点で、8万と1296円になります!」
「はぁい」
なかなかの値段になっても歩は眉一つ動かさずにカバンの中から財布を取り出そうとする。
それを制しながら俺はポケットから財布を取り出すと9万を店員に手渡した。
「えっ、お兄ちゃん?」
まさか俺が払うとは思っていなかったのであろう歩が驚きで目を見開くのを他所に、俺はお釣りと商品を受け取るとスタスタと店を後にする。
「いいお兄さんですね」
「自慢のお兄ちゃんなんです!」
そんな会話が後ろから聞こえ、むず痒さから眉をひそめる。
小走りで歩が隣にくると、俺を見上げてありがとうと呟いた。
背後からありがとうございましたぁ〜と店員の甲高い声が聞こえた。